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製品開発のうらばなし <CADシステム>

私が社会人になった26年ほど前、建築・家電・自動車などの製造業には既にCADシステムが導入されていて、新人研修で1週間くらい習いました。

当時は「パソコン」ではなく「ワークステーション」と呼ばれるハイエンド・コンピューター(といっても最近のPCより処理能力は低いかも…)をネットワークでサーバーへ繋ぎ、設計データを開発部門・設計部門・製造部門で共有することで開発・生産のリードタイムが飛躍的に短縮され、圧倒的な効率化が図られていました。

「CADAM」「CATIA」という名称をご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。

ただ、効率的になりすぎた分、便利になりすぎた分、デザイナー受難…いや、デザイナー革新・覚醒の時代に突入したのです。(この「デザイナー〇〇」の話は、またいずれ。)

豊岡の鞄業界もCADシステムの導入が20年以上前から始まっており、今では若い方からベテランまでがしっかり使いこなしているようです。私も一昨年、鞄専用ってところはお初ですが、Toyooka KABAN Artisan Schoolのカリキュラムで久しぶりにCAD操作を習いました。手書き・手裁断よりずっと楽だし、すぐ修正できるし、やっぱりCADは便利ですね。プロッターは裁断のミスもしないし。

 

気付いたコトがあります。

 

鞄づくりも材料を組み上げていくという概念自体は建築や工業製品と変わりませんが、鞄ってそんなに固くないんです、当たり前ですが。

柔らかだったり、撓やかだったりの材料で立体を作るんで、下手すると出来上がりが歪んだり捻れたり膨らんだり凹んだりしてしまうんです。当然、設計段階である程度それを見越して数値入力するんですが、いくら計算してもうまくいかない時があります。このままでは製品になりません。

そんな時には、手書きの時代から代々伝わる「ダイタイコノグライ」という呪文の様な不思議な言葉を使います。

機械の数値だけでは解決できない課題に、人間の衆智によって光が見えてくる。

鞄づくりには0と1の間を大切に残しているアナログな部分が多くあって、機械化・デジタル化が進む中でも味のある製品が生まれてくるのは、多くの工程で人の手がしっかり入っているからだと思います。日本製でも海外製でも。

 

CADとヒトがバランスよく共存している鞄業界は、これからも楽しみですよ。

 

 

ちなみに、エンドー鞄はCADシステムを導入していません、あえて、です(だと思います)。

今日は企画部長が手書きで原寸図面をひいています。曰く、誰でも直ぐに意志共有できるから。

(企画部長へのインタビュー:http://endokaban.jp/interview?id=staff-interview)

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